出口治明
![](/pict/phal.jpg)
2008年、還暦でライフネット生命を開業。12年、上場。社長・会長を10年勤める。18年1月より、立命館アジア太平洋大学(APU)学長に就任。24年1月より、学長特命補佐。 |
(2024年1月 立命館大学東京オフィスにて)
繰り返し読みたい本
(清水宣晶:) 出口さん!(出口治明:) こんにちは。
![](./images/deguchi (71).jpg)
こんにちは。
お久しぶりです。
そうですねえ。
どうぞ(イスを勧める)。
ありがとうございます。
最近は、体のお加減はいかがですか?
お加減は・・・まあまあ。
声が出にくいのが、問題ですね。
![](./images/deguchi (56).jpg)
手で書くほうは。
左手を使って書いていますが、
そうですねえ・・
(かかる時間が)10倍くらい。
![](./images/deguchi (13).jpg)
すごく、左手を使う
練習をされているんですね。
![](./images/deguchi (73).jpg)
出口さんの名前は、
直線が多いから書きやすそうです。
(笑)そうですね。
今も連載を続けてらっしゃいますけれど、
原稿は、書くよりも、話すほうが楽ですか?
どちらでも。
まあ、五分五分かな。
今は、読書はいかがですか?
本は・・
今読んでいるのは、これ。
これは、面白い。
![](./images/deguchi (33).jpg)
『GREEK TO ME』。
もうすぐ、読み終わります。
![](./images/deguchi (77).jpg)
ギリシアについてのエッセイなんですね、
面白そうです。
本を読む量は、以前と変わりましたか?
2倍、時間がかかる。
理解するのは、前とおんなじだけれど、
ページをめくるのに、2倍、時間がかかるね。
電子書籍なら、こう、
パッと、指でめくれそうですけど。
![](./images/deguchi (9).jpg)
僕は、本はこういう(紙の)本が好きだな。
清水さんは、電子書籍は読みますか?
私も、基本は紙の本ですが、
実物がもう手に入らない本は、電子書籍で読みます。
そうですか。
それは、いいですね。
出口さんは、
何回も繰り返し読みたいと思う本は、
何冊ぐらいあるんですか?
20から30冊ぐらい。
『道しるべ』、これが一番。
あと、『ハドリアヌス帝の回想』
これは、ぜひ。
読んでみます。
今までもこれからも、おんなじ
今は、講演のような形でお話しをする、ということはされているんでしょうか。
![](./images/deguchi (52).jpg)
それは、もう少し、
時間がかかりますね。
あと1年、待っててください。
そしたら、もうちょっと。
おおお!そうですか!
この1年ぐらいでも、
とても回復されていますよね。
うん。
理由ははっきりとわからないけど、
ちょっとずつ。
はじめは、全然言葉が出なかった。
出口さんがリハビリについて
書かれた本も、読みました。
あの本?
![](./images/deguchi (18).jpg)
そうです、『逆境を生き抜くための教養』。
人間って、うまく行っているときよりも、
逆境が訪れたときのほうが、その人らしさが出るなと思いました。
出口さんのふるまいを知って、
自分も、逆境になったときには、
諦めずに、自分が出来ることで
一番前向きなことを選ぶようにしようと、
心の中で思っているんです。
![](./images/deguchi (45).jpg)
いいねえ。
素晴らしい。
ライフネット生命の時も今も、
出口さんは、自分もこうなりたいと思えるような
ロールモデルであり続けています。
![](./images/deguchi (22).jpg)
本を1冊、持って行って。
どれでも好きなのあげる。
ええ?
どれでもいいんですか?
いいよ。
![](./images/deguchi (25).jpg)
じゃあ、まだ読めていない、この本をいただきます。
ありがとうございます。
新しい本が1冊、もうできています。
あさってに出る。
そうですか!
だいぶ前に書いた原稿がまだ残ってるから、
手直しを加えて、また少しずつ出ていますね。
![](./images/deguchi (66).jpg)
「旅」では、
行きたいところというのはまだ残っているんですか?
まだまだ、あるねえ。
たとえば、アフリカとか。
アフリカ!
どのあたりでしょう?
(書く)
![](./images/deguchi (72).jpg)
真ん中へんですね。
コンゴや、タンザニア。
はい。
これと、
![](./images/deguchi (76).jpg)
エジプト、モロッコ、南アフリカ。
ああ、いいですねえ。
日本の中は、もうほとんど行きましたか?
僕はもう、国内はだいたいすべて行った。
あなたは、見ていない県はある?
佐賀と、長崎と、大分は行っていないです。
最近は、長野から日帰りで行ける場所を、
よく旅行しています。
そう。
![](./images/deguchi (47).jpg)
出口さんは今も、やりたいことというのは、
変わらず、人、本、旅なんでしょうか。
やりたいことは、今までもこれからも、全部おんなじ。
面白い人に会って、本を読んで、旅をする。
僕も、生きているかぎり
人と会って、本を読んで、旅をしたいと思います。
ええ。
まだまだ、清水さんには時間があるね。
そう思います。
そう思えるのはやっぱり、
出口さんを見ているからなんです。
出口さんは60歳で会社を興すということをやったんだから、
いくつになっても、
新しいことができない理由はないだろう、と。
そうだね。
![](./images/deguchi (43).jpg)
本当に、今日は出口さんと
お話しできて嬉しかったです。
ありがとうございました。
また、きっと、
お会いしましょう。
(2024年1月 立命館大学東京オフィスにて)
【清水宣晶からの紹介】
僕が敬愛してやまない、出口治明さんに聞いたお話しをまとめました。
出口さんは、APU(立命館アジア太平洋大学)の学長をつとめているさなか、脳出血で倒れ、失語症と右半身麻痺の後遺症を抱えることになりました。
とても大きな環境の変化だったと思いますが、出口さんは極めて理性的に、自分が直面している事態を「変えられないファクト」として受け入れて、できる中で最善の治療方針をみずから選び、懸命のリハビリを続けました。
その後、発語の面でも回復をみせて、ふたたび学長の職務に復帰を果たしています。
ものすごいレジリエンスだと思います。
出口さんには以前、ライフネット生命の社長をされていた時に、「読書論」というテーマでお話しをお願いしたことがありました。
その時に語られたことを文字起こしした時、ほとんど編集が必要ないほどに話しが明晰で、理路整然とした内容だったことに、とても驚いたのを覚えています。
僕が今回聞いた中で、ものすごく印象に残っているのは、「あと1年待ってください。またお話しをする時には、もっとしゃべれるようになっていると思います。」という言葉でした。
当たり前のように、いつも前を向いて、よりよく生きようと考えているのです。
僕は、人間は、逆境の時にこそ本当の真価が試されると思っています。
出口さんの生き方から、僕はいつも進むべき指針を与えられていて、心の中で常に、僕もこういう歳の重ね方をしたい、と思うようなロールモデルで在り続けています。
僕が敬愛してやまない、出口治明さんに聞いたお話しをまとめました。
出口さんは、APU(立命館アジア太平洋大学)の学長をつとめているさなか、脳出血で倒れ、失語症と右半身麻痺の後遺症を抱えることになりました。
とても大きな環境の変化だったと思いますが、出口さんは極めて理性的に、自分が直面している事態を「変えられないファクト」として受け入れて、できる中で最善の治療方針をみずから選び、懸命のリハビリを続けました。
その後、発語の面でも回復をみせて、ふたたび学長の職務に復帰を果たしています。
ものすごいレジリエンスだと思います。
出口さんには以前、ライフネット生命の社長をされていた時に、「読書論」というテーマでお話しをお願いしたことがありました。
その時に語られたことを文字起こしした時、ほとんど編集が必要ないほどに話しが明晰で、理路整然とした内容だったことに、とても驚いたのを覚えています。
僕が今回聞いた中で、ものすごく印象に残っているのは、「あと1年待ってください。またお話しをする時には、もっとしゃべれるようになっていると思います。」という言葉でした。
当たり前のように、いつも前を向いて、よりよく生きようと考えているのです。
僕は、人間は、逆境の時にこそ本当の真価が試されると思っています。
出口さんの生き方から、僕はいつも進むべき指針を与えられていて、心の中で常に、僕もこういう歳の重ね方をしたい、と思うようなロールモデルで在り続けています。