森村隆行

| 1973年生まれ。群馬県出身。 東京大学経済学部卒業後、伊藤忠商事株式会社に入社。木材部配属。2000年、プルデンシャル生命保険入社し、ライフプランナーという営業職に就いた後、(株)保険見直し本舗というベンチャー企業に転職し取締役就任。趣味、登山。 ライフワークとしてチャリティ活動を行う。1998年よりフィリピンのスラムで奨学金の基金であるSto.Nino Fundを運営。2002年よりフィリピンの孤児院の支援を行うParasaiyoメンバー。チャリティーイベントとしてPARACUP~世界の子どもたちに贈るRUN~を運営。 http://www.paracup.info/ |
(2008年2月 沼部「森村邸」にて)
一生をかけてやりたいこと
(清水宣晶:) もりりんはこれまでに、仕事でたくさんの経験を積み重ねているけれど、
それは何か、やりたいことに向けてインプットをしているの?
(森村隆行:) うん。
自分のやりたいことは明確で、
パブリックの分野にたずさわりたいのね。
パブリック、っていうのはどういうこと?
公の領域で、より多くの人が、
今ある状態よりも幸せになるための働きをしたいっていうことだね。
自分のための仕事じゃなくて、世の中のための仕事。
それは、国家公務員とか、
役所の仕事とはまた別のものなんだ?
国家公務員なんかは、まさにパブリックの仕事だよね。
俺も、元々は公務員になろうと思ってた時があった。
でも、就職活動している時に、
あんまり政治家とか役人がイケてないな、
って子供っぽいけど思えてしまって。
それよりも、ビジネスの世界にいったほうが、
時流を見る目だとか、スキルだとか、コスト意識とか、
具体的な力を行使することに長けられるんじゃないか、
って思えたんだね。
とくにプロジェクトマネージメント能力がつくと思った。
だから、厳しいビジネスの世界で修行してから、
公の分野で仕事をさせてもらったほうがいいんじゃないかって思った。
そうか。
その中で、商社に入社したのは、
どういう経緯だったの?
商いのスキームを身につけたかった。
それに、一部の地域や商品にとらわれずに、
世界を相手に商いをする集まりである商社を選んだんだね。
でさ、当時、
一番アグレッシブに見えた総合商社が、伊藤忠だったのよ。
木材の部署っていうのも、
もともと自分の希望だったの?
そう。第一志望。
パブリックを意識出来るもののうち、
「住」の分野(衣食住の)とか、
環境問題に直結してるっていうことで、
木材の分野に興味をもったんだ。
その後、
保険の業種に移った時はどう思ってた?
その次は、
形のないサービスとかシステムをやりたいと思ったわけ。
でも、例えばエンターテイメントの分野なんかには、
あんまり興味なくて。
パブリックをやるなら、日本人の暮らしっていうものを、
お金の側面から勉強させてもらおうと思った。
商社でやってた仕事は、BtoCじゃなくてBtoBの、
企業との仕事だから、お客さんの生活に関する実感というか、
手触り感は感じられなかった。
保険は、思いっきり、
人の生活と関わっていく実感があったんだよね。
家計の話を丁寧に聞かせてもらった上で、
人生のビジョンや家族への愛情の話をして、
それからリスク管理の話をしていくんだ。
自分は、直接的には1000世帯ぐらいしか
関わっていないかもしれないけど、
新入社員の人から、富裕層と呼ばれる人まで、
色んな人たちのお世話をさせていただいてきて、
本当に多くのことを学んだ。
保険のことはプロだけど、人生のことは、
お客さん一人一人から教えてもらったと思う。
そういう、マクロじゃなくて、
ミクロからのパブリックへのアプローチってのを、
この数年間やってきたと言ってもいいと思う。
なるほど、商社の後に保険の仕事ってのは、
ちょうどマクロとミクロの両方を知れてバランスがいいなあ。
現場からのアプローチ
今やってる、パラサイヨなんかも、まさにミクロ的な部分からのアプローチをしてる感じがするね。
そういうことになるね。
でも、もともとは、逆に、
国連とか世界銀行とかで働けたらいいなと考えていたんだよ。
いつ頃、そう思ってたの?
大学生の頃から、ここ数年前ぐらいまではそう思ってたかな。
でも一方で草の根的な活動って楽しいんだよね。
アジアのスラムに行って、子供たちと泳いだりするわけ。
子供たち20人ぐらいに囲まれて、日焼けしながら、
痛てー、とか言ってるのって、顔が見えて、お互い好きになって、
援助の原点なんじゃないかなと最近よく思うんだ。
ミクロのことをちゃんと知ってる人がマクロのことををやる、
ってのは理想的な姿だよね。
そう、現場でやっている活動から得た経験を、
ボトムアップで政策レベルまで普遍化することが出来たらいいなあという問題意識を持ってる。
それから今はまた、別の、新しいことを考えていて、
あっきーも一緒にやってる、インターネットを使ったチャリティの
ファンドレイジングプログラムなんかは、
また別のアプローチが出来るなあって思ってて。
それに、今は夢中になってる。
それは、今までのボトムアップとかトップダウンの形の動きじゃなくて、
下から下への水平方向の広げ方ってことだよね?
そうそう。
人々の心の中にある小さな善意に
火を点していくやりかたっていうのかな。
Kickstarterの成功例もそうだけど、
今は、インターネットを活用することで、
小さな善意を集めて大きな力にすることが、
すごくやりやすくなったね。
税金で納めている金って、
自分が何かやってる実感って皆無なんだよね。
パラカップなんかは、参加者は一人2000円を寄付として払っているわけだけど、
直接それが支援に使われているから、
すごく具体的に役に立っているという実感があって、
なおかつ体感までしているわけだから、強烈に残るわけなんだよ。
いいね。
参加者も実感が湧くし、それを運営している人たち自身も、
より楽しさを感じられる気がするな。
最初のプランとしては、地べたがわかってて商売がわかる人、
として上(パブリックとか政策をやる場所)に行きたいと思ってたんだけど、
上に行かずに、このままやり通すのも面白いかなあって、
今は思ったりもするんだよね。
それは、今までなかったモデルだよなあ。
ビジョンとか、マネジメントをする力がある人ってのは、
たいてい上のほうにいっちゃうから、
なかなか現場に残る人ってのがいないからね。
パブリックに興味を持ったきっかけ
もりりんが、パブリックの分野に興味を持ったのって何がきっかけだったんだろうね?
小学生の頃、本多勝一さんの「地球環境報告」って本があったんだけど。
それを読んだ時さ、すげー怒りを感じたことを覚えてるのよ。
大人、何やってるの!って。
地球がこんなことになってるのに、俺小5だし!みたいな。
俺、小学生じゃ何も出来ないじゃん、
って怒りだね。
たぶん、その頃、
酸性雨とかが問題になった時代なんだよね。
当時まだノストラダムスが来てなかったからさ、
これじゃないかと。
これで滅ぶのか!と(笑)。
それで、「母さん、俺、これやるわ!」って言った記憶があるな。
俺がやらねば、みたいな意識があったんじゃないかな。
あっきーが今、そういうことを聞いたから、思い出したことなんだけどね。
小学生の頃に、最初のきっかけはあったんだな。
それ以降、その意識ってずっと続いてた?
大学生の時とかも、
周りの学生たちが分厚いレポートとか読んで、
しょっちゅう「こんな政策じゃダメなんや!」
「いや、それは違うよ○○君」とか議論してるわけじゃない(笑)
やっぱり、大学のカラーとして、
パブリックのことを意識している人が多かったね。
ああ、そうか。
そういう環境の影響もあるかもね。
他には、パラサイヨと出会ったことも、
一つの分岐点だったのかな?
まあ、パラサイヨというよりも、
池本くん(池本多賀正)と会ったのがきっかけだったんだよね。
もともと、彼は当時から現場とか、
若者文化とか、そういう方に意識が向いてたんだ。
一方で、俺がやってきたのは、
開発援助とかそういう意識に基づいた話だったから、
彼がそれを面白く思ってくれて、
「いっしょにやろう」と意気投合したんだよね。
じゃあ、お互いに、
足りないところを補い合うような感じだったんだね。
だったんだと思う。
それがなかったら、
今でもトップダウンのやり方の道で進めてたかも知れないね。
まあ、これからどういう方向に進んでいくかは、
今、模索中っていう感じだな。
(2008年2月 沼部「森村邸」にて)
【清水宣晶からの紹介】
もりりんほど、同じチームにいて心強い存在はいないだろう。
平時には縁の下の力持ちとして、人の気づかないほころびをガッチリと固めていて、いざピンチの時には必ず現れ、それを打開するための力になってくれる。
守って良し、攻めて良しの、将棋の駒で言えば「馬」のような安定感だ。
もりりんといて思うのは、その場面場面に応じて返ってくる反応が、見事なまでに的確だということだ。どのタイミングでも、機知とユーモアにあふれた「これしかない」と思う一言を発してくれるし、そのように行動をしてくれる。
前回、もりりんに話しを聞いたのは7年前だ。
若い時分から既に長者の風格があったもりりんだけれども、そこからさらに経験を重ねてきたことで、より磨きがかかっている感じがする。
これから先、その時々の気づきを彼と話すことが、僕の楽しみになるだろうと思う。
もりりんほど、同じチームにいて心強い存在はいないだろう。
平時には縁の下の力持ちとして、人の気づかないほころびをガッチリと固めていて、いざピンチの時には必ず現れ、それを打開するための力になってくれる。
守って良し、攻めて良しの、将棋の駒で言えば「馬」のような安定感だ。
もりりんといて思うのは、その場面場面に応じて返ってくる反応が、見事なまでに的確だということだ。どのタイミングでも、機知とユーモアにあふれた「これしかない」と思う一言を発してくれるし、そのように行動をしてくれる。
前回、もりりんに話しを聞いたのは7年前だ。
若い時分から既に長者の風格があったもりりんだけれども、そこからさらに経験を重ねてきたことで、より磨きがかかっている感じがする。
これから先、その時々の気づきを彼と話すことが、僕の楽しみになるだろうと思う。
















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第287話 久保田光
第286話 岩上健太郎
第285話 堀場百華
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第283話 マツダミヒロ
第282話 木下英一
第281話 白井康平
第280話 在賀耕平
第279話 太田泰友
第278話 柄沢忠祐
第277話 鮏川理恵
第276話 伊藤大地・麻里子
第275話 金澤金平
第274話 近谷浩二
第273話 岡田信一
第272話 大野佳祐
第271話 吉田マリア
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第269話 富岡直希
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第261話 山田貴子
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