小橋賢児

| 1979年8月19日生まれ、東京都出身。 8歳の時に自ら送った一枚のハガキがきっかけとなり芸能界デビューする。 『ちゅらさん』『スワロウテイル』『あずみ』など数多くのドラマや映画で活躍。 2007年、自らの可能性を広げたいと俳優活動を休業し渡米。 その後、世界中を旅しながら映像制作を始める。 帰国後、ファッションブランドのPV監督やDJ、イベントプロデュースなど、俳優の枠を超えてマルチに活動。 そして2012年、作家・自由人の高橋歩氏の旅に同行し制作した映画「DON'T STOP!」で映画監督デビューとなる。 2011年、本作が「SKIPシティ国際Dシネマ映画2011」にて「SKIPシティアワード」を受賞、 同時に「SKIPシティDシネマプロジェクト第2弾支援対象作品」に選出された。 映画「DON'T STOP!」公式サイト http://dontstop.jp/ |

(C)2011「DON’T STOP!」製作委員会
(2012年7月 表参道「MERCER CAFE TERRACE HOUSE」にて)
ネパールで見た風景
(清水宣晶:) 小橋さんが、俳優を休業したきっかけっていうのは、もとをたどると、、やっぱり、旅ですか?
(小橋賢児:) 最初のきっかけは、そうですね。
26歳の時に、初めてネパールに行った時、
そこで、自分と同い年の男の子に出会ったんです。
生活の水準とかを単純に比べたら、
日本に住んでる僕のほうが、裕福ではあったけれど、
彼は、かわいい子供と奥さんに囲まれて、
その生活を見ていると、すごく幸せそうだった。
うんうん。

で、僕が、夕日を見に行きたいって言った時に、
バイクの後ろに乗せて、連れて行ってくれたんです。
その時、彼の背中がすごく大きく感じて。
当時の自分の不甲斐なさとかも含めて、号泣しちゃったんですよね。
芸能界でのポジションだとか、細かいことを気にしてて、
人間力が足りないなあ俺、と思って。
その時に、物事の価値観がちょっと変わったんです。
それ、スゴいなあ。
一瞬の風景で、
世界の見え方が変わったんですね。
それから一年ぐらい休業して、旅をするようになって。
その中で自分が感じたリアルを切り取りたい、って思うようになった。
だから、映画を作ってた時って、
「こんなものを作ったぞ」って人に見せてやろうって気持ちよりは、
僕自身が、映画作りをしながら、
人生の旅をしたかったっていう気持ちだったと思うんですよね。
小橋さん自身が、まず、
まだ知らない世界への旅を求めてたんでしょうね。
たぶん、そういう心境の自分だったからこそ、
今回、映画の中に出てくる旅のメンバーに出会って、
いろんな出来事を見させられて、
「DON'T STOP!」の映画が出来上がったと思うんです。
それは、あるでしょうね。
もし、違う人がこの旅を撮ってたら、
違う出来事が起こって、違う映画になってただろうし。
「この旅、いい旅になるぞ」っていう直感って、
たぶん、旅人はみんな持ってると思うんです。
僕も、旅してる中で、絶対何か起きるぞって思う時があって、
今回もなんとなく、リアルなものが切り取れるだろう、
っていうのは、感覚としてありました。

最初に、ネパール行った時には、
俳優を休業することは考えてなかったんですよね?
まったく思ってなかったです。
20歳前後くらいから、自分の心は「NO」って言っていても、
心にフタをして、違和感を抱えたような状態が続いていて。
20代半ばになって、30代を見据えた時、
このままじゃいけないって思って、
少しずつ、生活や遊び方を変えていった中で、
ふらっと出かけたのが、ネパールだったんです。
ネパール、っていうのは、
前から行きたいと思ってた場所だったんですか?
そういうわけでもなくて、
なんでネパールだったか、わかんないんです。
「少年アシベ」でスガオくんが行ってたな、とか、
それぐらいのイメージしかなくて。
(笑)スガオくん!
なんか、雪男みたいなのといるんですよね。
そういう、全然知らない、
未知の世界に一人で行くっていうことに、
ワクワクしたのはあった。
ほんとに、原点はその、ネパールからですね。
全部入れて、全部捨てた
「DON'T STOP!」を制作するきっかけになった、高橋歩さんと出会ったのは、いつ頃だったんですか?
最初に会ったのは、2年くらい前に、
歩くんがハワイの本屋でトークショーをやってた時です。
その時に聞いた話しに、
「なにか夢を語った時、大人はその夢に理由をつけたがるけど、
夢に理由なんかねえよ。ワクワクするからやるだけだよ。」
っていう言葉があったんですけど、
ものすごくストレートで、素敵だなと思って。

小橋さんにも、
響くところがあったんですね。
そういえば自分て、昔から俳優業をやってたけど、
みずから窮屈にして、いろんなことを言い訳にして、
自分の可能性を狭めていたなってことに気づいたんです。
そのしばらく後に、
CAPさんとのアメリカ行きのことを聞いたんですか?
話しを聞いたのは、
その日の夜にあった、飲み会の時です。
あ、もう、
その日のうちに!
「今度、車椅子に乗った不良オヤジと旅するんだよね。
26歳の時に事故に遭って、右腕しか動かないんだけど、
ルート66でハーレーに乗りたいって言うオヤジがいて」って。
その計画を聞いた時、すごくワクワクして、
脳みそスパークしたのが始まりだったんです。
それより前には、
映画を撮ろうって考えてたことはあったんですか?
いや、映像は自分でも撮ってたんですけど、
映画のことなんて考えたことなかったんです。
でも、その話しを聞いた瞬間に、
「映画撮らせてください」って言っちゃったんですよ。
その時、突然。
スイッチが入っちゃったんですよね。
で、飲んでる席で調子いいこと言っても、
次の日酔いが醒めると、
「やっぱり、無いだろう」って、
流れちゃうパターンって多いじゃないですか。
歩くんも、それを確かめたかったみたいで、
しばらくして、「この前言ってたこと本気?」って聞いてきたんですけど、
もう完全にスイッチ入ってたから、
「本気だから、撮らせてください」って言ったんです。
咄嗟に思いついたことだけど、
その場のノリで言ったことじゃなかったんですね。
「そこまで本気なんだったら、CAPがいいって言うならいいよ」
って歩くんが言ってくれて。
旭川から2時間くらい車で走って、
北海道の名寄っていうところまで、会いに行ったんです。
先に、映画を撮ることを考えた後に、
その本人に会うって面白いですね。
そう、ドキュメンタリーの映画撮るっていったら、
普通は、まず先に人があって、
この人の映画を撮りたい、ってなりますけど、
直感的に「撮りたい」って思った後に、
その本人に会いに行ってるわけですよね。
だから、田舎道を走ってる途中、不安になるわけですよ。
どんな人が出てくるのかなあ、って。
で、行って、家に着いたら、
赤い車椅子に乗って、マルボロのタバコ吸って、
星条旗のタオルとバンダナとサングラスしたCAPさんが、
「How are you?」って出てきたんですよ。
ちょっとズッコケそうになりながらも、
その瞬間に、自分の直感は間違ってなかった、って思いました。
ぶはははは!
会った瞬間、この人ならイケる!と。

ぜひ、この人の映画を撮りたい、と思って。
そこからもう、急いで準備ですよね。
6月に会って、旅は9月からですから。
小橋さん、映画の作り方っていうのは、
知ってたんですか?
全然知らなかったです。
映画っていうものに、役者としては関わってたんですけど、
でも、映画を作るって、別ものじゃないですか。
そうですよね。
それから、「映画の作り方」みたいな、いろんな本を読んで、
ドキュメンタリーものの作品をかき集めて見まくって。
でも、それで、いいものを学んだり、
誰かの手法を真似するっていうよりも、
「これはイヤだな」っていうのをカットしていった、
っていうことが多かったです。
それは、面白いですね。
取り入れるんじゃなくて、捨てていったんですか?
知識としても、CAPさんの好きな、
60年代とか、ルート66とか、「イージーライダー」とか、
そういうものを全部入れて、全部捨てることにしました。
自分の血肉として取り込んだ上で、
いったん忘れることにしたんですね。
そう!そういうことです。
それから1ヶ月間、CAPさんのところに住み込んで、
たくさん話しをしました。
1ヶ月、一緒に住んでたんですか!
それは、CAPさんのことを知るためにですか?
僕は、映像に映るものだけじゃなくて、
見えない時間をどれだけ使ったかって大事だと思っていて。
人間て、深くつきあうほど、見える顔が違ってくるし、
1ヶ月間一緒にいるうちに、
他の人には見せない表情を見せてくれたりとか、
あると思ったんです。
そういえば、
映画の最初のほうで、夕暮れ時の丘でCAPさんが、
自分の考えてることとか、夢を素直に話す場面があって、
そのシーンが、すごく印象に残ってます。
そういう本音っていつでも出てくるわけじゃなくて、
タイミングがあると思うんですよ。
ただ単純にインタビューしようと思っても、
なんかカッコつけちゃうし、絶対本音は出てこない。
それは、すごくわかります。
「さあ、話してください」って正面から来られると、
ここでいいこと言わなきゃ、とか、
自分の言葉じゃないことを話したりしますよね。
CAPさんがちょっと落ち込んで、
感情がワーって溢れてる時だったから、
「俺、こんな夢持ってたんだ・・」って話しが出てきたんです。
だから、あれは、最初で最後の一回きりです。
たった数十秒間の場面ですけど、
長い時間を一緒に過ごしていないと、
立ち会えないタイミングですね。
決めないことの大切さ
「DON'T STOP!」って、あらかじめ用意された、脚本みたいなものが、まったく無い作品ですよね?
無いです。
撮影の前までは、いろんな情報を自分の中に入れて、
想像はしたんですけど、撮影に入る時に、全部捨てました。

それも、全部捨てましたか。
捨てないと、動物的勘で動けないじゃないですか。
「今日は、夕日を撮影する日だ」、とかって決めちゃってると、
こっちで何か別の出来事があった時に、すぐに対応出来なかったり。
そうですね。
プランがあると、そのスケジュールを
消化することのほうが優先になっちゃう。
それは、なんか、僕自身が旅をしてる中で、
決めないことの大切さっていうのを感じてたんです。
ゴールだけは決めて、あとは起こることに従う。
でも、怖くなかったですか?
旅の10日間、もしかしたら何も起こらないかもしれない、
っていう可能性もあったわけでしょう。
ありました。
でも、そこはもう、
最初に感じた直感を信じるかどうか、の世界ですね。
すごい不安になってきて、自分に、
「本当に大丈夫なんだろうか?」って問いかけるんですけど、
「絶対大丈夫」って言い聞かせて。
脚本がないドキュメンタリーだと、
大事な瞬間を撮り逃したらいけない、
っていうプレッシャーも、すごいあったでしょう?
それは、ほんとに常に感じてましたね。
いつ何が起こっても、すぐに撮れるように、
キャンピングカーの床に寝袋を敷いて、
みんなが寝静まるのを待って、
一番最後に寝て、一番最初に起きてました。
うわーー!
それ、どういう距離感だったんです?
常に隣りに張り付いてるんですか?
そう、ずっとです。
CAPさんが、キャンピングカーのソファーを
ベッドにして寝てたんですけど、
僕はその下に、寝袋を敷いて寝てたんです。

そうだったんですか。
でも、だからといって、
小橋さんが存在感を出しちゃいけないわけですよね。
そう、普段は空気のように存在を消すんですけど、
質問とかをしてガッと行くときは行く、っていうことはしてましたね。
でも、その場で口論とか、何かの出来事が始まると、
僕はスッてこう・・空気になるんです。
ぶははははは!
その瞬間、気配を消すんですね。
それにしても、みんなの素の姿に、
よく、あそこまで密着できたなと思いました。
俺は真剣にカメラをまわしてるぞ、っていう気を出してると、
「ごめん、ちょっとカメラ止めて」とは誰も言えないんですよ。
空気のような存在でもあるんですけど、人間って不思議で、
真剣に内側に入り込んでない「部外者」がその場にいると感じたら、
やっぱり、本音の話しは出てこないんです。
それは、すごくわかります。
単に気をつかってジャマしないように撮ってるだけだと、
周りも変に意識して、素の状態にはならないですよね。
そう、僕のことを気にせずに話してもらうんだけれど、
僕がいることによって、さらに熱くなる、
っていう状態にならないとダメだと思うんです。
なるほど!
それ、ものスゴく繊細な立ち位置だなあ。
観た人が答えを出すこと
あと僕、「DON'T STOP!」って、ナレーションがないっていうのが、
すごくいいと思ったんです。

ナレーションを入れることも、
最初考えたんですけれど、考えた上で外して、
思いは全部、映像に乗っけることにしました。
言葉じゃない部分で、
伝えることにしたんですね。
すごく近い距離からの映像を観ている時って、
旅に同行しているような気持ちになれると思うんですけど、
でも、ナレーションが入ったら、そうはならない。
急に受け身になっちゃう。
ああ!
そう思います。
言葉でのメッセージ自体、映画の中では最小限に
抑えられてる感じがしますね。
僕は、メッセージって、
観た人がそれぞれ、自分の人生に置き換えて、
答えを出してもらえばいいと思っていて。
映画っていうのは、気づきのきっかけの場になれば、
それでいいと思ってるんです。
僕がメッセージを言葉で言ってしまうと、
そういう先入観で観ちゃうじゃないですか。
そうなると思います。
どうしても、引きずられますね。
人間て、足りないと、考えるし感じるんです。
見えなかったら見ようとするし。
テレビのドキュメンタリーは、
ナレーションで全部説明してくれるから、
ご飯食べながらボーッと見ても、「なるほどね」ってなる。
自分の感覚で考える前に、
「なるほどね」って納得しちゃいますよね。
でも、だからメッセージを入れなかった、
っていうわけじゃなくて、消去法ですよね。
試しにインタビューの映像を入れてみたりとか、
いろんな可能性を考えて試行錯誤しながら、
「こういうのはイヤだな」って思ったものは、
外していったんです。
最初っから形が決まってたわけじゃないんですね。

セレンディピティってありますけど、
それに近いですね。
思ってもいなかったところに、
吸い寄せられていくような。
プロデューサーみたいな立場の人に、
「どういう映画作るのか、最初に決めて」って言われてたら、
たぶん、ああいう映画は出来てないと思うんです。
それが、歩さんの波長とも合ったんでしょうね。
とりあえず、やってみてから考えよう、っていう。
そう、とにかく信じてくれ、って。
そこは、プロデューサーが、
僕のことを信じてくれたのが大きかったです。
その代わり、納得いくものが出来るまでに時間がかかりました。
3ヶ月で作る予定が、編集を続けるうちに、
僕が作品をだんだん客観的に見れなくなってきて。
小橋さん自身も一緒に旅に同行してるわけだから、
客観的に見るって、余計に難しいですよね。
そうなんです。
これ、ほんとに面白いのか?っていう、
その感覚がわからなくなって、
いっぺんフラットにしたいと思って、
寺にこもりました。
(笑)寺にこもったんですか!
携帯とか全部取り上げられて、1畳半のスペースで、
一日15時間座るっていうのをやるところなんですよ。
そこに一週間こもって。
いったん感覚をクリアーにして、
そこからまた3ヶ月、客観的に見れる人を新しく入れて、
さらに編集するっていうことをやってましたね。
編集をする時っていうのは、
なにか、方針はあったんですか?
旅の中で、物理的に起こる出来事っていうよりも、
人の心の流れ、っていうところをジッと見ました。
その、小橋さんの、
内面に潜っていく作り方っていうのは、
試行錯誤をしながら出てきたと思うんですけど、
元はなにか、自分自身の経験から来ているものなんですか?
20代の最後くらいに、肝臓を壊して倒れて、
彼女にもふられて、ほんとうにダメダメな、
1ヶ月くらい寝たきりみたいな状態になったことがあったんです。

肝臓を壊したっていうのは、
酒の飲み過ぎで?
僕も最初そうかと思ったんですけど、
酒が原因じゃなくて、
肝臓って、感情と結びついてるみたいです。
かなりのストレスがかかってたんですね。
このままの状態で30代をむかえたら、
年齢とか、仕事の事情とかを言い訳にして、
いろんなことを諦めちゃうんだろうなって思ったんです。
で、身体を治すために、茅ヶ崎に引っ越して、
トレイルランや、ライフセービングのトレーニングをしながら、
自然の中で少しずつ療養して。
その時の、どん底に落ちた経験っていうのは、
真理の探求って言ったらおおげさですけど、
人間の大切なものとか、心の深さとか、
そういうものを探す旅だったと思います。
その経験があったからこそ、
CAPさんや歩さんの想いと通じあうところがあったり、
映画作りの糧になった部分があったんでしょうね。
それも、後になって気づくことですけどね。
そう考えると自然のことで、
そういうタイミングだったのかなって思うんですけど。
CAPさんが生きて、そこにいることによって、
周りの多くの人を巻き込んで、変えていった。
それって、スゴい存在意義だなと思うんです。
CAPさんだけじゃなくて、その周りの、
一緒に旅をしている全員が変わっていきましたよね。
よく、ドキュメンタリーだと、
「その後、彼はどうなったか」って、
後日談の映像が続いたりするじゃないですか。
でも、それは入れないようにしよう、と思って。
映画の物語は、サンタモニカに着いたところで終わり。
大事なことは、CAPさんを媒介にして、
今度は、自分自身が人生に向き合う時に、
「あなたは、明日からどう生きますか?」
っていうことなんだと思います。
ああ・・
ほんと、そうだ。
「じゃあ、オレは何をするんだ?」と。
そう。
観てくれた人たちが、どういう行動をとるのか。
僕はそこに、すごく興味があるんです。
(2012年7月 表参道「MERCER CAFE TERRACE HOUSE」にて)
【清水宣晶からの紹介】
小橋さんと会い、話しをし始めて、僕はすぐに好感を持った。
体験してきたことをベースに、自分の頭で懸命に考えたことを、率直な言葉で語っている。
真っ直ぐにこちらを見据えて、飾ることなく熱心に話してくれたことが、とても嬉しかった。
「DON'T STOP!」という映画を観て、これはテレビで見慣れているドキュメンタリーとはまったく違うという感想を持った。
わかりやすく示されたテーマや結論があるわけではない。映画の途中で感情を揺さぶるBGMが流れるわけでもなく、ナレーションすら挿まれていない。
そこで提示されるのは、旅の過程で起こったひとつひとつの出来事や、実際に語られた言葉の積み重ねで、そこから何を感じるかは、完全に観る者の判断にゆだねられていた。
そういう作り方だったからこそ、この映画を観終わった後、自分自身にあてはめて考えたことがたくさんあり、心の中に余韻が残ったのだと思う。
俳優という、「人に見られる」仕事をしてきた小橋さんが、どうしてここまで、みずからの存在を完全に消して作品を作ることが出来たのか不思議だったけれど、話しを聞いて、今回の映画作りの過程すべてが未知の「旅」であり、新しい挑戦だったのだとわかった。
小橋さんにとって、映画監督というのは、最終到達点ではない。
今回は、訪れた流れに直感的に乗り、映画を作るという形で表現をしたけれど、次に新しいテーマが見つかった時には再び、懸命にゼロから掘り下げて、最適なアウトプットを考えていくんだろうと思う。
その、本質を真摯に追求する姿勢から、また、彼にしか作れない作品が生み出されるのを、今からとても楽しみにしている。
小橋さんと会い、話しをし始めて、僕はすぐに好感を持った。
体験してきたことをベースに、自分の頭で懸命に考えたことを、率直な言葉で語っている。
真っ直ぐにこちらを見据えて、飾ることなく熱心に話してくれたことが、とても嬉しかった。
「DON'T STOP!」という映画を観て、これはテレビで見慣れているドキュメンタリーとはまったく違うという感想を持った。
わかりやすく示されたテーマや結論があるわけではない。映画の途中で感情を揺さぶるBGMが流れるわけでもなく、ナレーションすら挿まれていない。
そこで提示されるのは、旅の過程で起こったひとつひとつの出来事や、実際に語られた言葉の積み重ねで、そこから何を感じるかは、完全に観る者の判断にゆだねられていた。
そういう作り方だったからこそ、この映画を観終わった後、自分自身にあてはめて考えたことがたくさんあり、心の中に余韻が残ったのだと思う。
俳優という、「人に見られる」仕事をしてきた小橋さんが、どうしてここまで、みずからの存在を完全に消して作品を作ることが出来たのか不思議だったけれど、話しを聞いて、今回の映画作りの過程すべてが未知の「旅」であり、新しい挑戦だったのだとわかった。
小橋さんにとって、映画監督というのは、最終到達点ではない。
今回は、訪れた流れに直感的に乗り、映画を作るという形で表現をしたけれど、次に新しいテーマが見つかった時には再び、懸命にゼロから掘り下げて、最適なアウトプットを考えていくんだろうと思う。
その、本質を真摯に追求する姿勢から、また、彼にしか作れない作品が生み出されるのを、今からとても楽しみにしている。
SPECIAL THANKS TO
![]() | 佐藤孝治さん 映画「DON'T STOP」と小橋賢児さんをご紹介いただきました。 |















第289話 青山光一
第288話 高桑雅弘
第287話 久保田光
第286話 岩上健太郎
第285話 堀場百華
第284話 栗林宏充
第283話 マツダミヒロ
第282話 木下英一
第281話 白井康平
第280話 在賀耕平
第279話 太田泰友
第278話 柄沢忠祐
第277話 鮏川理恵
第276話 伊藤大地・麻里子
第275話 金澤金平
第274話 近谷浩二
第273話 岡田信一
第272話 大野佳祐
第271話 吉田マリア
第270話 齋藤志穂
第269話 富岡直希
第268話 中村尚哉
第267話 塩川浩志
第266話 篠原憲文
第265話 金子久登己
第264話 大島亜耶
第263話 上山光子
第262話 日野秀明・熊谷祐実
第261話 山田貴子
第260話 渡辺正寿
第259話 桑原大輔・あやこ
第258話 田原さやか
第257話 高野慎吾
第256話 安久都智史
第255話 堺大紀
第254話 塚原諒
第253話 鈴木優介
第252話 藤原みちる
第251話 濱野史明
Mike Davis
第249話 松本菜穂
第248話 大竹恭子
第247話 前村達也
第246話 あや
第245話 須田高行
第244話 福原未来
第243話 古谷威一郎・育子
第242話 井出天行
第241話 吉澤希咲子
第240話 竹内真紀子
第239話 熊本敦子
第238話 飯塚悠介
第237話 ハン・クァンソン
第236話 山本勇樹
第235話 吉川徹
第234話 室伏那儀
第233話 石川伸一
第232話 北幸貞
第231話 石田諒
第230話 久保礼子
第229話 永富さおり
第228話 Simeon
第227話 吉田岳史
第226話 茂木重幸
第225話 向井朋子
第224話 大槻美菜
第223話 五十嵐昭順
第222話 山川陸
第221話 小林まみ
第220話 木下史朗
第219話 縄
第218話 ナカイ・レイミー
第217話 岩瀬直樹
第216話 カトーコーキ
第215話 服部秀子
第214話 東孝典
第213話 一戸翔太
第212話 柳澤拓道
第211話 りょうか
第210話 安藤雅浩
第209話 篠塚光
第208話 依田昂憲
第207話 森村ゆき
第206話 大北達也
第205話 伊勢修
第204話 中村里子
第203話 柳澤龍
第202話 細川敦子
第201話 山岸直輝
第200話 中澤眞弓
第199話 高野ゆかり
第198話 四登夏希
第197話 森田秀之
第196話 山﨑恭平
第195話 豊田愛子
第194話 金山賢
第193話 坂本正樹
第192話 江原政文
第191話 マツダミヒロ
第190話 おぎわらたけし
第189話 番匠健太
第188話 高塚裕士
第187話 森田藍子
第186話 黒澤世莉
第185話 橘田昌典
第184話 森村茉文
第183話 梶原隆徳
第182話 松本祐樹
第181話 中村元治
第180話 小園拓志
第179話 あらいみか
第178話 麻生沙織
第177話 豊田陽介
第176話 出口治明
第175話 森岡真葵子
第174話 阿部翔太
第173話 多苗尚志
第172話 石井貴士
第171話 田中美妃
第170話 井手剛
第169話 ひらつかけいこ
第168話 住田涼
第167話 松田大夢
第166話 藤田伸一
第165話 田口師永
第164話 大野佳祐/豊田庄吾
第163話 ウサギノネドコ
第162話 小野寺洋毅
第161話 はる@よつば
第160話 森村隆行
第159話 篠原祐太
第158話 ナカムラケンタ
第157話 大野雅子
第156話 クラリスブックス
第155話 紀乃のりこ
第154話 川島優志
第153話 木村孝・真由美
第152話 佐藤明日香
第151話 大槻美菜
第150話 吉村紘一
第149話 森村ゆき
第148話 辰野まどか
第147話 大橋南菜
第146話 アラ若菜
第145話 宮原元美
第144話 源侑輝
第143話 山本慎弥
第142話 熊崎奈緒
第141話 山中思温
第140話 徳永圭子
第139話 木戸寛孝
第138話 上村実生
第137話 吉田秀樹
第136話 平世将夫
第135話 杉なまこ
第134話 田村祐一
第133話 小橋賢児
第132話 竹沢徳剛
第131話 草野ミキ
第130話 藤沢烈
第129話 竹田舞子
第128話 KERA
第127話 石神夏希
第126話 山本恭子
第125話 吉村紘一
第124話 小原響
第123話 小笠原隼人
第122話 鈴木教久
第121話 物井光太朗
第120話 山本大策
第119話 中村真広
第118話 柳澤大輔
第117話 菊池大介
第116話 岩村隆史
第115話 大嶋望
第113話 今井健太郎
第112話 高橋政臣
第111話 栗田尚史
第110話 上村雄高
第108話 野口恒生
第107話 内野徳雄
第106話 森村泰明
第105話 中村洸祐
第104話 竹下羅理崇定部
第103話 田中美和
第102話 本田三佳
第101話 門松崇
第100話 浅見子緒
第099話 たきざわまさかず
第098話 大野佳祐
黄昕雯
第096話 山本達夫
第095話 本田温志
第094話 内田洋平
第093話 沢登理永
第092話 辰野しずか
第091話 マツダミヒロ
第090話 宮坂善晴
第089話 大久保有加
第088話 谷澤裕美
第087話 笠井有紀子
第086話 高杉なつみ
第085話 菅野尚子
第082話 小座間香織
第081話 山口夏海
第080話 藤田伸一
第079話 森田英一
第078話 新井有美
第077話 神田誠
第076話 紺野大輝
第075話 花川雄介
第074話 間庭典子
第073話 木村由利子
第072話 有紀天香
第071話 山崎繭加
第069話 金澤宏明
第068話 山田康平
第067話 西野沙織
第066話 川端利幸
第065話 岩下拓
第064話 清水宣晶
第063話 高橋慶
第062話 山本麻子
第061話 木村孝
第060話 田島由香子
第059話 石井英史
第058話 巻山春菜
第057話 多苗尚志
第056話 梅沢由香里
第054話 西村友恵
第053話 山口絵美
第052話 高木大
第050話 武藤貴宏
第049話 高橋早苗
第047話 清水元承
第046話 貴田真由美
第045話 伊藤敦子
第044話 シミズヨシユキ
第043話 武藤正幸
第042話 木村音詩郎
第041話 中村文則
第040話 野口幸恵
第039話 深森らえる
第038話 貫名洋次
第037話 黒澤世莉
第036話 大澤舞理子
第035話 石井貴士
第034話 高橋章子
第033話 和田麗奈
第029話 佐々木孝仁
第028話 縄手真人
第026話 五十川藍子
第024話 石田直己
第023話 鶴田玲子
第022話 杉原磨都美
第021話 石倉美穂
第020話 工藤妙子
第017話 石井千尋
第016話 見市礁
第013話 滝田佐那子
第012話 岡田真希子
第011話 田中直美
第008話 今西奈美
第006話 もがみたかふみ
第004話 佐藤愛
第003話 岩崎久美
第002話 田中藍
第001話 和田清華
第002回公開インタビュー
第002回ワークショップ
第001回ワークショップ